VR酔い対策研究まとめ!

November 25, 2020

はじめまして、ソリッドスフィア株式会社のジロです。


弊社ではVRコンテンツの制作も行っていますが、それをする上で必ず課題となるのが

「VR酔い」

当記事では、その「VR酔い」の対策について静岡大学で行われた実験を紹介させていただきます。



そもそもVR酔いとは?

そもそも「VR酔い」とは「動揺病」の一種だと考えられており、

VR体験によって頭痛やめまい、吐き気や胃のむかつきなど、気分が悪くなる症状を指します。

動揺病とは、視覚・前庭(耳の中の体のバランスをとる器官)・皮膚感覚・深部感覚などが関与する酔いのことで、船酔いや車酔いなどの乗り物酔い、大画面映像による映像酔いなどが含まれます。

ポジショントラッキング(頭の動きと画面の動きが連動する)を使用しないVRコンテンツでの移動


VR酔いに関しては各社研究を重ねておりますが、やはりポジショントラッキングを使わずに、頭の向きだけ連動した激しい動きのあるVRが特に酔いやすいようです。

弊社の「カイジVR」では、ポジショントラッキングを使用していない移動のあるゲームであるため、一般的には酔いやすい部類のVRコンテンツとなってしまうのですが、鉄骨渡りというゲーム特性上、移動速度が非常に遅く、かつ上下左右の振動を抑えた動きを採用しているので、ある程度長時間プレイしても酔いづらい設計となっておりました。





バイクシミュレータで実験 大切なのは「音と振動」だった!


静岡大学情報学部の板口典弘助教・宮崎真研究室とヤマハ発動機株式会社の木村哲也・三木将行の研究グループは、5分間のバーチャルオートバイを使用し、80名の被験者を、音響と振動ありのグループ、どちらもないグループ、音響のみグループ、そして振動のみグループの4つに分けて実験を行いました。


その結果、映像に音響と振動を同期させて提示することによって、オートバイのシミュレータに起因する酔いの重症度を半分以下に低減できることを発見しました。



今後期待されること

この研究によって従来よりも比較的安価な方法でVR酔いが軽減できる可能性があることが証明されたため、今後はさらにVRコンテンツが広がることが期待されます。

 

私自身もVRのドライブシミュレーションゲームを体験した際、酔ってしまい長時間のプレイが難しい経験がありましたが、上記のような対策だけでなく、Pimax Vision 8K Plusなど、VRデバイスのハイクォリティ化によっても、大幅な低減が期待されています。

VRデバイスの描画するフレームレート(1秒間に画面を書き換える回数)が90fpsを超えると少しずつ酔いが低減され、120fps以上になると現実での見え方と違いがわからない人もいると言います。さらに解像度も8Kを超えてくるとやはり人間の知覚とほぼ同等となってくるため、描画性能に加えて今回の研究結果のような「音と振動」を工夫することによって、近い将来にはかなりの改善が見込まれるものと思われます!

今後は弊社でも、誰もが一層快適なVR生活を送れるコンテンツ作りに取り組んでいきたいと考えております。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

参考:https://www.shizuoka.ac.jp/news/detail.html?CN=6399